ストップウォッチなしで、一日の行方をつかむ
夜になって、今日は何をしていたのか思い出せない。忙しかったのは確かなのに、中身が言えない。この感覚を解消するのに、必ずしも秒単位の計測はいりません。粗くていいので、輪郭が残っていればかなり違います。
まず、正確さを諦める
ここで紹介するやり方は、ストップウォッチより確実に粗いです。何時間何分かは出ません。三十分の作業と二時間の作業が同じ一行になることもあります。それでも成立するのは、多くの人が本当に知りたいのが分数ではなく順番と密度だからです。何が起きたか、どの順で起きたか、どこで一日が持っていかれたか。輪郭でだいたい足ります。
状況が変わったら、一行
基本はこれだけです。場所が変わった、相手が変わった、扱っている話題が変わった。そのタイミングで一行残します。開始も停止もありません。書いた時刻が自動で付くので、あとから並べれば一日の流れになります。
コツは、変わった瞬間に書こうとしないことです。会議が終わって席に戻ったとき、電車に乗ったとき、コーヒーを淹れているとき。もともと手が空く瞬間に寄せると、割り込みになりません。一日に五行から十行も残れば、夜には十分な手がかりになります。
寝る前に、記憶を一巡する
抜けは必ず出ます。忙しい日ほど書けません。そこで、寝る前の二、三分だけ朝から順に思い返します。起きて何をして、午前は誰と話して、昼は何を食べて、午後どこで詰まったか。
思い出せたものだけ足せば十分です。思い出せない時間は空白のまま置いておきます。空白は失敗ではなく、単に特筆すべきことがなかった時間です。この一巡には副産物があって、書き足しながら「今日はずっと割り込みで終わった」といった構造のほうに気づくことがよくあります。
色でざっくり分ける
一行ごとにカテゴリの色をつけておくと、読み返しの負担が一段下がります。文章を読まなくても、色の並びだけで一日の傾向が見えるからです。仕事の色が朝から夜まで続いている日、細かい色が交互に出ている日、ひとつの色が長く続く日。それぞれ疲れ方が違います。
分類は粗くていいです。細かくしすぎると、書くたびに迷って手が止まります。五つから七つくらい、迷わず選べる数に抑えておくのが実用的です。
読み返しは、日ではなく週で
一日単位で見ても、たいていは平凡です。意味が立ち上がるのは一週間まとめて眺めたときで、繰り返し出てくる名前、毎週同じ曜日に沈む時間帯、思っていたより手をつけていなかったことが見えてきます。
TimeMapではカレンダーから任意の日を開いて、その日の記録をそのまま読めます。頻出語やカテゴリの集計も出るので、週末に五分眺めるだけで傾向がつかめます。
これで足りない場合
請求のための時間や、見積もりの根拠が必要なら、素直に計測ツールを使ってください。この方法はそこには届きません。届くのは、一日が意識のないまま溶けていく感覚のほうです。輪郭が残っているだけで、その感覚はかなり薄まります。